「房事(性行為)を節にすべし」明治政府の伝染病対策、当時の公家の日記から明らかに
[磯田道史の古今をちこち]ねやごとにも自粛要請
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20200310-OYT8T50126/
前略
こうまでして買い取ったのには理由がある。日記には、日本人が「伝染病」と戦う姿が克明に記録されていたからである。
約150年前、新政府がパンデミック(世界的流行)に直面した時のさまを本欄に書きたいと思った。
パンデミックといっても、この時は家畜伝染病であった。「シベリア海岸にリントルペスト(牛疫)流行起り追々蔓延。
日本へも伝染すべき有様なれば日本政府へ御忠告」と、上海駐在の米国領事が外務省に知らせてきた。
この病気は「空気中に導き伝へず只動物より動物に伝へ、或は人身よりし、又また、衣類・諸品よりし、或は又、既に病みし獣類の病原を含める物等により伝ふ」
「伝染を受けたる獣類は残らず直に打○し、其タヒ骸を火中に投じ焼捨べきなり」と記されていた。新政府はこの全文を翻訳し、すぐに日本全国に布達。公家の醍醐家にも、それがきた。
こういった布達で「空気感染」の概念や「病原」が衣類や物品に付着して感染が拡がるなどの新知識が明治の日本人の脳に入ってきたのである。
これをうけ、京都府は「家内邸内は勿論、村々町々、溝さらへ」を命じた。府民あげての一斉掃除が始まった。
「正常に掃除致すべし。所の役人ならびに家の主人に於て心付、指揮方怠惰致すまじく」というのだからすさまじい。
そして新政府は予防法を示した。開港場で「厳に入舟を改め」た。病人があれば「医官改の上、其病にあらざれば上陸を免ず」ことにした。これが検疫の開始である。
そして、今と全く同じことが、明治四年に行われている。手洗いうがいを奨励した。「身体を清浄にし、なるべくたけ衣服を洗濯し垢付ざる様」にし、
「天気よき日には窓を開き風入をよく」、家の換気を国家が要請したのである。
それだけではない。国家は国民の日常生活へも制限を加えた。疲れると、病気への抵抗力が落ちるからであろう。飲酒はもちろん性行為の回数を減らせとまで布告した。
「酒家は絶て禁ずるに及ばざれども、暴飲すべからず、かつ房事(性行為)を節にすべし」である。こんな布告が回ってきて、醍醐家では家来が詰所で丁寧に日記に書写している。
革命政府たる明治国家は徹底したリアリズムの政権で、パンデミックになると、国民のねやごとにまで嘴を入れた史実を指摘しておく。(日本史家)
明治時代は拡散速度が遅かったからな
この連載面白い
引用元: https://rosie.5ch.net/test/read.cgi/liveplus/1584021993/
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません