「お金を稼ぐのは男性、家事や育児は女性」と性別による役割分担がまだ色濃く残っていました。当時は女性がコートを着る際に男性が手伝うのが
紳士的だとされていましたし、女性が座る際に椅子を引いてくれる男性もいました。しかし、男女が対等だという共通認識がある現在のドイツでは、
そういったシーンをあまり見かけなくなりました。
「家事は男性と女性で平等に分担すべきだけれど、支払いは男性がすべき」というのはあまり論理的ではなく辻褄が合いません。男女の平等を
追求する現在のドイツでは「男性がおごるべき」といった主張を聞くことはあまりありません。
ドイツのデートは基本的には「自分が頼んだものは自分で払う」というスタイルです。2人で飲み食いした金額を2で割る日本の「割り勘」ともまた
少し違い、「自分が頼んで自分が飲食したもののみを自分で払う」形です。
たとえば女性がビールひとつと軽食を頼んだ場合、女性はその分しか払いません。相手の男性がもしもビールを数杯飲んだらその分は男性が
自分で払います。ドイツには運ばれてきた料理をシェアする習慣はありませんから、自分で頼んだものは自分で食べ、その分だけを払うのです。
逆に男はおごりたがりて結果出てたろ
おごられない女と奢りたくない男で論争してるって結論やったな

https://i.imgur.com/5uOs3y2.jpg
パートとかやる気ないやつ多すぎるもん🥺
もちろん普段よりも気合は入りますが、日本のようにデートのたびに準備の段階で札束が飛んでいくような状況になることはあまり一般的ではありません。
ドイツでは食事を男性からおごってもらうことについても「何だか気が引ける」「気が重い」と感じる女性が少なくありません。もっともこれは一部の男性にも
原因があります。金銭にシビアな男性が女性にディナーをおごる場合、そこには下心が見え隠れするからです。「夜景がきれいで雰囲気もロマンチックな
レストランでディナーをおごったから同じ夜のうちにあわよくば……」なんて考えている可能性があるわけです。そういった事情もありドイツの女性はおごられる
ことを警戒する傾向にあります。
ガチでケンモメンみたいな精神で生きとるぞ
発端は「サイゼで喜ぶ彼女」というイラストが投稿されたこと。
イラストには幸せそうな笑顔を浮かべながらサイゼリヤで食事している女性が描かれていましたが、「デートでサイゼリヤに
連れて行くなんてありえない」という声が上がり、それに対して「それはサイゼリヤに失礼」などといった反論があり、延々と
議論が繰り広げられました。これもドイツではあまり見かけることのないたぐいの論争です。
日本では「男性はデートの際に惜しみなくお金を使うべき」というバブルの頃のような感覚がまだまだ残っている気がします。
ドイツの感覚だと、たとえば「2人とも歩くのが好き」ならば、「初デートであっても山歩きやちょっとした登山に誘う」のは「あり」
なのですが、筆者がそのことを日本人の女友達に話したところ、ドン引きされてしまいました。
彼女曰く「好きな女性を初めてのデートで山歩きに誘うなんてお金を使いたくないだけじゃん。山に行ったらお金はかからないし
安上がりだからね」と言われてしまいました。
議論が巻き起こったこともあります。
そのジュエリーブランドがリーズナブルな価格帯のものと知られていることから、ネットでは「30歳の女性に
この価格帯のものをあげるのはおかしい」「学生じゃあるまいし、交際を真剣に考えている女性に対して失礼」
などの声が上がりました。
筆者もリアルタイムでこの投稿を見ていました。お店の人がラッピングした可能性が高いとはいえ、こんなにも
可愛いらしいプレゼントをネットに上げ、「いただいた身でこんなことあれですが」と謙遜を装いつつ恋人からの
プレゼントを公衆の面前にさらすという行為に違和感を覚えました。
30代の女性に1万円や2万円のアクセサリーを贈ったとしたら本気で喜んでもらえる可能性は限りなく高いでしょう。
女性の年齢によって「ふさわしいもの」が暗黙の了解で決まってしまうのは、一見すると女性に有利なようで、結局は「女性を
年齢で判断すること」につながっている気もします。多様性が重んじられるようになったいま、「女性は何歳までに結婚しなければ
いけない」「何歳までに出産しないとおかしい」といった発言はタブーだとされています。「何歳の女性にはいくらのモノをプレゼント
として贈らなければならない」となると結局は女性を年齢で判断するといった価値観から逃れることはできないのではないでしょうか。
ところで日本に住む知人のドイツ人女性に冒頭の「おごる」騒動についてどう思うか聞いてみたところ、女性は「日本に来たばかりの頃、
日本の男性の気前のよさにびっくりした」と話しました。筆者も同じように感じています。もしかしたら日本にも「ご飯をおごったからには……」
と下心のある男性もいるのかもしれませんがドイツほどあからさまでない気がします。
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