思わず唸らされる源氏物語の秀逸な伏線で打線組んだ
2 これに書きたまへ、硯には書きつけざなり
3 国の親となりて帝王の上なき位に昇るべき相おはします人の、
そなたにて見れば乱れ憂ふることやあらむ、
朝廷の重鎮となりて天の下を輔くる方にて見れば、またその相違ふべし
4 御子三人、帝后かならず並びて生まれたまふべし、
中の劣りは、太政大臣にて位を極むべし
5 男君の御前にては恥ぢてさらに弾きたまはず
6 中の品にぞ置くべき
7 明石の入道のためしにやならまし
8 近き所には、播磨の明石の浦こそなほことにはべれ
9 尋ね行く幻もがなつてにても魂のありかをそこと知るべく
空を通ふ幻夢にだに見えこぬ魂の行くへ尋ねよ
すずめのひなを捕まえて、籠の中に閉じ込めて飼い、
そのひなに逃げられて泣いている少女の頃の紫の上に、
その母方の祖母で母親代わりの北山の尼君がかける言葉ゾね
「まあ、あなたは何て幼いの。
あなたの唯一の庇護者である私が明日をも知れぬ命ですのに、
そんな事は気にも留めず、10歳にもなるのに今日もすずめを追い掛け回していらっしゃる。
生き物をいじめるのは仏道に悖り、
罪を得る事になりますよと常日頃から申し上げておりますのに、情けない事」
何という事のない台詞に思えるが、
こ↑こ↓はその後の紫の上の人生をそのまま暗示する重要な伏線ゾね
侍女に髪をといてもらうのも嫌がり、乳姉妹と一緒に元気に遊び回る野生児だった幼い頃の紫の上が、
源氏によって見いだされ、彼の庇護のもと最上の貴婦人として磨かれながら、
ついにその手から逃れる事はできなかった、
文字通りのかごの鳥として人生を終える事を暗示しているゾね
後年紫の上は夫の裏切り(自分と同じ紫(藤壺)のゆかりである朱雀院女三宮を正室に迎えた)に傷つき、
世をはかなんで出家したいと何度も夫に懇願するが、
年をとってだんだん女性から相手にされなくなってきた源氏が
紫の上にバブみを求めていたので、
とうとう仏道に縋る事すら許されず、
その魂は救済されぬままに生涯を終える事になるんやが、
北山の尼君の「罪得る事ぞ(仏様の罰が当たりますよ)」はその事やったんやなって……
紫式部姉貴の冴えわたる筆に心震えますよ~震える震える
良く知られているように、
宇治十帖は紫式部姉貴本人の手になるものではなく、
後年の手を入れる専門家によって書き足された説が有力だが、
ここではその事にはあえて触れず、
源氏に言及した現存する最古の文献である更級日記の記述に基づき、
(更級日記に、源氏物語の写しを丸ごと伯母(叔母)からプレゼントされた孝標女が、
いつか自分も夕顔や浮舟(←宇治八宮の落胤で現行の源氏物語の最後に登場するヒロイン)のように
貴公子から愛されたいと夢見るシーンがある)
源氏ほんへとしてカウントするゾね
源氏の異母弟の宇治八宮が、習字のお稽古をしていた上の娘(宇治の大君)にかけた言葉ゾね
「紙にお書きなさい、硯に文字を書くものではありませんよ」
めうも詳しい事は分からなんだが、
硯に字を書きつけてはいけないというタブーが当時の平安貴族の中にあったらしいゾね
これだけが原因ではないが、
オースティンの小説さながらに、誇りと先入観から、
薫に最後まで心を開けなかった宇治の大君は、
可哀想な事に若くして生涯を終え、
彼女のタヒが巡り巡って妹である宇治中の君や異母妹である浮舟の人生にも影を落とすことになるのだが、
作者姉貴or兄貴がその事まで考えてこの一文を書いたのなら、
恐るべしや、作者姉貴or兄貴……ゾね
あさきゆめみし全巻読んだらこれ全部理解できる?
あさきにも言及されてない伏線あるゾね
やっぱり原文がナンバーワン!
サンガツ
原文ってどこで読めるんや??
ぐぐって
異筆とかいろいろあるけど原本に近い原文が気軽に読めるのは↓
http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/
何から何まですまんな
ありがとう
あもりにも有名な雨夜の品定めより、女性は中流に限るという一節ゾね
「上臈の女性は、前評判だけ高くて、
いざ付き合ってみると面白みがない事が多いものです。
もとより我々のような者は下臈とは付き合いませんし、
ほどほどに身分が良く、
且つ良い教育を受けて嗜みを備えた中流階級の女性がやっぱりナンバーワン!」
こ↑こ↓は自身中流階級の出の紫式部姉貴の太すぎる承認欲求が見える見える……事は置いておいて、
このセリフは、源氏が基本上臈ではなく中流の女性を狙う事の原動力になっているゾね
もちろん源氏は上臈どころさん?!(藤壺中宮、六条御息所、朝顔)とも恋をしたが、
主に源氏の身分と性格が原因で、彼女たちは結局ものにできなかったゾね
※紫の上は宮の娘で女王(皇子の子)だが、北の方の産んだ娘ではないので身分が低い、
末摘花は宮の娘で紫の上と同じく女王だが、父は既に亡く没落しているので上臈にカウントされていない※
彼が晩年朱雀院女三宮を求めたのは、
若い頃上臈の女性を思うがままにできなかった心の空隙を埋める為なんやなって……
そう思うと、クソ野郎の源氏もクッソ哀れな存在に思えて来るゾね……
ちなみにこ↑こ↓は朱雀院女三宮を正室に迎えた源氏が、
高貴な身分なのに、幼くて嗜みもあまりない彼女に幻滅するシーンの伏線にもなっているゾね
>>15
ええんやで
そなたにて見れば乱れ憂ふることやあらむ、
朝廷の重鎮となりて天の下を輔くる方にて見れば、またその相違ふべし
高麗からやってきた占い師が、小さい頃の源氏を見て言う台詞ゾね
「天子にふさわしいお方だが、そうなると世が乱れこの方も世の中も不幸になってしまう。
さりとて、臣下として一生を終えるお方でもないようです」
この言葉は、のちのち藤裏葉(親友から政敵となった
源氏と頭中将がようやく和解し、
源氏の娘(のちの明石中宮)が皇太子に嫁ぎ、
源氏の息子(夕霧)が幼馴染の頭中将の娘(雲居の雁)と結ばれ、
源氏が准太上天皇(文字通り、臣下でありながら天皇にも匹敵する最高の地位)を賜り、
万事めでたしめでたしで終わる源氏ほんへ前編掉尾の巻)で実現することになるゾね
ちなみにこのセリフ、そのすぐ後の若菜(源氏がだんだん没落してゆく源氏ほんへ後編劈頭の巻)で、
源氏が彡(゚)(゚)「そういえばワイにはワイの身分にふさわしい高貴な妻がおらんな……」
彡(^)(^)「せや、せっかくやから内親王を妻にしたろ!」と、
自分にふさわしい高貴な妻を求める事の伏線にもなっているゾね(※朱雀院女三宮を娶った理由は紫のゆかりだけではない)
桐壺は後から作者姉貴が咥え入れた説が有力だが、
後付けとはいえここまで考えて源氏を構築したのなら、
作者姉貴の辣腕におっぱい(敬意と畏怖を)感じちゃう!
中の劣りは、太政大臣にて位を極むべし
源氏の子供に関する記述ゾね
源氏はあれだけ恋をした割に子供は少なく、
藤壺中宮との間にできた不義の子である冷泉帝、
最初の正室である葵の上との間にもうけた表向きの長男夕霧、
側室の明石の君との間にもうけた一人娘の明石姫君(のちの明石中宮)
の3人だけゾね
(紫の上や花散里は子供を産んでいない【二人とも源氏の子供の後見人にはなるが】)
ここは文章そのままなので無用な説明は省くとして、
この宿曜は、冷泉帝が自分の子である事を源氏が確信し、
朱雀院女三宮が産んだ男の子(のちの薫)が柏木の子である事に気付く根拠になるゾね
ちなみにこの見立てをした人、ちょっと怖い事に、
源氏ほんへではその後どうなったかが全く言及されていないゾね
源氏ほんへで、冷泉帝と薫の真実を両方とも知っているのは源氏本人だけなんやが、
冷泉帝が源氏の子であることを知っているのは、源氏と藤壺中宮と冷泉帝以外には
・桐壺帝
・王命婦
・先帝の后の代から仕えていた僧
の3人だけゾね
臣下である源氏の子が帝になるという見立てをしたなら、
冷泉帝が源氏の子であることに気づきそうなものやが……
その宿曜を見立てた人がその後どうなったのかはGo is God……ではなく、神(作者姉貴)のみぞ知る。ゾね……
※ちなみにしばしば誤解されるが、高麗の占い師と宿曜の見立てをした人は別人
若菜の巻の、有名な女性たちだけの演奏会で、
夕霧が「父上をいろどる女性たちはそれぞれに素晴らしいお方だ。
自分にもああいう嗜みのある奥さんがいたら毎日楽しいだろうなあ。
雲居の雁は可愛いし愛しているけれど、
彼女は小さい頃僕たちのお祖母さまの大宮さま
(桐壺帝の実妹、頭中将と葵の上の母で夕霧と雲居の雁の祖母)から引き離されたので、
音楽を満足に習得しないまま育ったので恥ずかしいと言って、
自分の前では音楽を聴かせてくれないからちょっと物足りない」と述懐するシーンゾね
こ↑こ↓は、夕霧の心に少しだけ空いた空隙によって、
雲居の雁とのアチアチな蜜月が破綻する事、
夕霧が従兄兼親友の柏木の未亡人である朱雀院女二宮(落葉の宮)を弔問するうちに、
内親王らしく奥ゆかしく嗜みのある宮に惹かれ、
素晴らしく琴を奏でた彼女に好意を寄せ、
ついには無理やり妻にしてしまい、
雲居の雁と破綻寸前にまでなってしまう事の伏線となっているゾね
真面目そうに見えて、夕霧もやっぱり源氏の子じゃないか(呆れ)
雲居の雁と引き離され、失意の夕霧が、
五節の舞姫(のちの藤典侍)に宛てた恋文を見て、
怒られるのかと思いきや、藤典侍の父惟光が莞爾としてつぶやく一言ゾね
ここで言及される明石入道は、ご存じ明石の君の父であり、
近衛中将の地位を捨て受領となった変わり者ながら、
巡り巡って中宮の祖父、未来の帝の曾祖父となった果報者ゾね
惟光が、自分もかくありたい、
「源氏さまの母上である桐壺更衣さまがそうだったように、
身分が低い女性がむやみに入内すると苦労する事になる。
それよりも、娘をしっかりした夫と結婚させて、
その間にできた女の子を后がねとして入内させた方が良い」と目論み、
その通りに、惟光の娘である藤典侍が夕霧との間にもうけた六の君(夕霧の六女)が、
美しく見込みがあるという事で朱雀院女二宮の養女となり、匂宮と結婚し、
のちの中宮となる事が約束され、惟光の目論見が実現する事を暗示しているゾね
※源氏ほんへでは触れられていないが、
匂宮は蛍宮(源氏の異母弟)と真木柱(髭黒の娘で紫の上の姪)の娘の宮の御方にも
食指を動かしており、
彼女が匂宮の妻となっていた場合、宮の御方の方が身分が高いので、
彼女が匂宮の中宮となり、夕霧六の君はなれない可能性もあるにはある
但し源氏ほんへではその事は全く言及されていないのでその事には言及しない※
変わり者の明石入道が、田舎で実業家として成功し、
妻と一緒に一人娘を大事に育てていて、
そんな彼らを「プライドの高い人だね、いずれは海龍王のお后になる人なんだね」と
からかいつつも、関心を示すという重要なシーンゾね
ここはのちのち宇治十帖にまで影響を及ぼす太すぎる伏線ゾね
若紫の時点で明石の君の存在がほのめかされ、
源氏に愛されながらそれが不幸の種となる紫の上、
源氏に愛されたことで幸運をつかむことになる明石の上が既に対比されていて、
こ↑こ↓の作者姉貴の筆の妙たるや、まるでゲーテみたいだぁ……(直喩)
関係ないけどめうが愛して已まぬ文豪四天王は、
日本の紫式部、インドのカーリダーサ、ドイツのゲーテ、(日系だけど)英国のカズオ・イシグロゾね
桐壺帝「亡くなった我が最愛の人(の魂の行方を探し、突き止めるという)幻術士があってほしいものだ。
直接合うことは叶わずとも、その術師を通して亡き桐壺更衣の魂の在り処を知ることができように」
源氏「大空を自由に行き交う幻術士よ。
夢にさえ姿を現してくれぬ我が最愛の人の魂の行方を捜しておくれ」
数十年の時を超えて受け継がれた想いが共鳴する、
めうが選ぶ源氏で最も美しい場面であるこ↑こ↓、
桐壺帝と源氏が似たもの親子である事、
彼らの最愛の女性が誰であったかをはっきりと物語るシーンゾね
桐壺帝の最愛の人が桐壺更衣で、
彼らの息子の最愛の人が紫のゆかりの紫の上である事、それはめうとしては実に好みのシチュでいいんだけど、
あれーおかしいね、彼女たちをつなぐミッシングリンクである藤壺中宮の存在どこにもいないね、
藤壺中宮の存在はどこ……ここ……?
めうがこよなく愛するあさきゆめみしでも、
桐壺更衣の魂が桐壺帝を迎えに行った事、
紫の上の魂が源氏を迎えに行った事
(※源氏が出家した寺の周りに紫色の霞が立ち込める(=紫の上の魂が源氏を迎えに来た)様を、明石の君が目撃するシーンがある)は描写されているのに、
藤壺は誰も迎えに来てくれず、春の盛りに儚く亡くなり、
タヒ後は源氏と密通した罪によって地獄に落ちてしまった藤壺中宮、
彼女のレゾンデートルは一体何だったのか、
その疑問が私の心を捉えて離そうとしないのである。
まー、藤壺は出家したしええんちゃう?
桐壺帝からも源氏からも、桐壺の更衣の面影を通して選ばれたわけやしヒデーとは思うが
タヒぬ気で抵抗したら少なくとも源氏は拒めたやろ
次の帝は御種じゃないですよ
というフィクション書いて人気になるのは
よその国にもあることなんやろか?
引用元: https://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1616058020/
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