最新型VRゴーグルが話題　マウスの仮想空間体験で記憶を解明へ　医療に期待　アメリカ

　目を覆われた状態で、軽快に足を動かし続けるマウス。

米　コーネル大学
アイザックソン研究員
「ゴーグルを着けていると非常に没入感があり、現実であるかのようにだまされるようです」

　着けているのは、マウス用の小さなVRゴーグルだ。

　マウスに仮想空間を現実世界のように体験させようと、アメリカのコーネル大学の研究者らが開発した。

アイザックソン研究員
「ゴーグルを装着したマウスに黒い点が近付いてくるような刺激を与えると、マウスはとても驚いているように見えます」
　右側の小さな画面は、マウスが実際に見ている映像だ。

　急速に近づいて来る黒い点に体が反応しているのが分かる。さらに、近付いてくる黒い点を走りながら、避けるように横にジャンプする様子も見られた。

　装置の下にはボールのようなものがあり、その上で歩くマウスが立ち止まると、見えている景色も連動して止まる。マウスにはあたかも自分が動いているかのように、再現された映像が見えているのだ。

　人間がVRゴーグルを装着したときと同じように、仮想空間に没入するマウス。

アイザックソン研究員
「最初にこのアイデアを思いついた時は、どう受け入れられるか正直分かりませんでした。でも神経学者はみんなすぐ理解してくれました」
　このゴーグルは、神経学の研究に大きな期待を寄せられているという。一体、どういうことなのか？

　マウス用のVRゴーグルを開発したコーネル大学では、アルツハイマー病治療の研究に取り組んでいる。その中で、脳の毛細血管の血流を増加させることでマウスの記憶機能が改善することが分かった。しかし、これがどのように作用して機能が改善しているかが分からなかった。

　実は、この作用の確認のためには動き回るマウスの脳がどのような反応を示すかを調べる必要があるのだが、マウスが動き回ると脳を測定する機器が使用できず、また、マウスを機器に固定するとマウスが動けないという問題があった。しかし、マウス用のVRゴーグルを開発することでこの2つの問題点を解決できた。

　VRゴーグルには黒い点がマウスに近寄ってくる映像が映し出され、マウスは外敵に襲われているように見える。研究チームによると、初めてマウスがこの映像を見た時は飛び上がって逃げようとするなど、まるで現実のことであるかのような反応を見せたという。

　研究チームは今後、マウスが装着したまま移動できるよう小型化することや、嗅覚や味覚と連動する機能を追加するなど、さらなる改良を目指していくという。